2005年 11月 01日
先日購入した「日本産幼虫図鑑」(学研)。チョウ類の蛹に備わっている蛹化突起の存在を知ったことで、この図鑑を買ってよかったと思ったわけだが、この図鑑をながめていて、他にもいくつか勉強になったことがある。 その一つ、アリジゴク、ウスバカゲロウ科幼虫について。あちこちでその巣を見かけながらなかなかそれ以上に踏み込めないまま来てしまった身近な虫。僕にとってそのネックは、種類の識別にあったように感じている。成虫になるまで飼育し、図鑑と照らし合わせればいいのだけれど、そこまでの根気がこの虫には向いてこなかった。そして、ウスバカゲロウ科の幼虫はどれも似た形をしていて、識別点を知らなければ幼虫のまま種名までたどりつくことはできなかった。唯一コマダラウスバカゲロウ幼虫にはつき合ったことがあったが、それはこの種が地衣類の付着した岩や樹皮という特殊な環境にいることで簡単に識別できたからだった。 が、件の図鑑のアミメカゲロウ目のところを開けば、この仲間の幼虫は「頭部の斑紋の違い」によってかなり識別できる……とあり、いくつかの種類の頭部拡大写真も掲載されている。これだったら入門してみようか、という気になったわけだ。 手始め、ということで三峰川河川敷へ。河原にはところどころ砂地があって、植物の影になったところは雨露に濡れにくいからかその砂がサラサラしており、そういったところではアリジゴクの巣穴がいくつも見つかる。来る途中ホームセンターで買ってきた小さなふるいで巣の底をすくえば、すぐにその主があらわれた。いつも「アリジゴク」ですませてきてしまっていた相手だ。今日から名前で呼べるようになるか? 日本産のウスバカゲロウ科は17種が知られている。そのうちスリバチ型の巣をつくる種類はわずか5種。その中の1種ミナミハマベウスバカゲロウは沖縄地方のみの分布なので候補からはずれる。さらに、松良俊明「砂の魔術師アリジゴク」(中公新書)によれば、ハマベは新潟、鳥取、福岡など局地分布とあるからこれも候補からはずしていいだろう。そしてウスバカゲロウは神社の境内など砂よりも細かなシルトサイズのところにいる種類だという。で、残りはコウスバカゲロウかクロコウスバカゲロウだ。 ここまでくれば一発でわかるだろうと、頭部を実体鏡でのぞき、図鑑と照らし合わせる。が、すんなりといかない。腹面の斑紋の具合からすると、クロコウスバに似ているように思われるのだけれど、背面側の斑紋で見るとうーんどっちかなあとなるくらいで決め手に欠けている。しかも背面側の斑紋は汚れがなかなかとれず鮮明に見えていないという事情もある。まあ、そういうわけで、今日の三峰川産アリジゴクは「クロコウスバカゲロウ幼虫ただし?つき」というところ。いくつか回って探し、それらを見比べてみるということも必要か……。
by narwhal2
| 2005-11-01 21:28
| アミメカゲロウ目
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