2005年 11月 07日
アリジゴク3種の頭部腹面(左から) ウスバカゲロウ コウスバカゲロウ クロコウスバカゲロウ アリジゴク熱(というほどでもないが)は一応まだつづいている。あちこち見て回ったところでは、僕のフィールドで見つかっている巣をつくるタイプのアリジゴクは、上の画像にある3種だ。このうち、神社で見つかっているのがウスバとコウスバ、河原でだけ見つかっているのがクロコウスバ。 「日本産幼虫図鑑」(学研)の記述によると、種の識別においてポイントとなるのが頭部斑紋。ところが、アリジゴクの体は巣から掘り出したときにたいてい砂まみれ状態であって、その斑紋などよく見えないことしばしば。連れ帰って面相筆などで拭っても容易にはきれいにならぬものさえいるくらいだ。そしてこれはできれば現場でできた方がいい。 そこで今日思いついた裏技(というほどでもないのだが、僕にとっては発見)。まずは巣からアリジゴクを掘り出す。スリバチの底近くにいるからそこをすくう。 ちょっと横道にそれるが、アリジゴク発掘道具について。スプーンですくってフルイにかけてもいいのだけれど、僕は横着なので特製フルイ一つで済ます。何のことはない、100円ショップで買ったフルイ(網目は粗めね)の縁をすくいやすいようにひん曲げた(素材がチャチなので曲げやすい)だけの代物だが、これが意外に優れモノ。 さて、あらわれたアリジゴクは砂まみれ。息を吹きかけたくらいでは斑紋もハッキリ見えないことがある。そんなときには、指にツバをつけてそれでアリジゴクの頭部(腹面が見やすい)をちょっとぬらす。すると、あら不思議。多少砂や泥で汚れたままでも斑紋がちゃんと浮き上がってくる。 その斑紋をルーペでのぞく。あとは上の画像と比べるだけ。顔面の4つの斑紋の大きさ、形、濃淡の違いだが、個体変異もあるので、多少数を見ないと迷う。コウスバとクロコウスバの頭部斑紋は似ているが、僕のフィールドでは今のところ生息環境の違いで識別できている。コウスバは神社、クロコウスバは河原なのだ。 さて、神社には2種類のアリジゴクがいる。ウスバとコウスバ。この二つのすみ分けがどうなっているのか気になっていたのだけれど、「アリジゴク観察事典」(偕成社)という子ども向け本にこの2種のことが書かれていた。それによると、ウスバは日陰、コウスバは日なたという違いだという。 それをたしかめるべく栗林神社へ。前回、やや明るいところにある小さな祠(画像の右端に建っている)周囲でコウスバを見つけている神社だ。今日も同じ場所をすくってみればやはりコウスバばかり。問題はこの神社の日陰にはどちらがいるかだ。ゲートボールに興じているジイちゃん、バアちゃんの視線を感じつつ、本殿(画像左の暗いあたりだ)まわりの薄暗い縁の下に潜り込み、フルイですくえば、予想通りウスバがあらわれた。うーん、お見事。ちゃんと同じ神社の中で住み分けてたんだねえ、と素直に感動。 →アリジゴク入門(その2)
by narwhal2
| 2005-11-07 17:33
| アミメカゲロウ目
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