2005年 11月 24日
火山の林道を歩いていたら、コナラの玉切りされた朽ち木が目に入った。ちょっと引けば樹皮がペリッとはがれるそうなほどにほどよく朽ちかけている。おまけにすぐそばのクリ低木の幹には、土粒でおおわれたアリ道がビッシリと付着している。
これはどう見てもトビイロケアリの巣が入っているにちがいない。ここのところ、トビイロケアリとくればアリノスアブという回路になっていて、その樹皮を少しめくってみることにした。と、アリノスアブ幼虫がかたまって7匹あらわれた。そのそばにはその蛹殻も二つ付着している。やっぱり何とも不思議な形態の幼虫たちだ。 ここまでは予想通りだったのだけれど、この朽ち木にはその寄主であるトビイロケアリの姿がなかった。アリなしのアリノスアブ、とはおかしな話だ。おそらくこの朽ち木ではトビイロケアリが営巣していて、そこにアリノスアブ幼虫も育っていたのだが、最近になってアリが引っ越してしまったのだろう。 このケースはアリノスアブのくらしを知る上でちょっとおもしろいかな、と思う。一つ、アリノスアブ幼虫はアリの引っ越し先までついていくほどの移動性はないということなのだろうか。もう一つ、このアリノスアブ幼虫たちはこの後、アリなしで成虫羽化までこぎつけるのだろうか。幼虫は10ミリ前後まで発育していて、「日本産幼虫図鑑」(学研)にある終齢幼虫体長に達している。それからすると、ここまでくれば後は越冬して、春に蛹化、羽化するだけという気がしてくる。もしそうなら、その能力とは別に、もはやトビイロケアリが引っ越したとしてもついていかなくてもよいということを意味しているのかもしれない。 →アリノスアブ幼虫
by narwhal2
| 2005-11-24 18:06
| ハエ目
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