2006年 02月 02日
穴に潜んでいるものというのがしばしば気になる。 竹筒に訪れるハチたち、地面深く巣を掘るコハナバチやらクロアナバチ、ハンミョウの幼虫だったり、トタテグモだったり……。中にいるのはわかっていて、しかし出入り口しか見えず、穴の中でどう過ごしているのかは直には見えない。で、気になる。 ボクトウガもその一つ。この木材穿孔性のガの幼虫は、木の幹に開いた穴から削りかすだか糞だかを、こんもりと盛り上がるほど出しているからその存在はすぐに知れる。木を掘り進んでいるのがカミキリムシではなくガの幼虫だというところもポイント高い。しかし相手は樹木の幹の中。おいそれと木など切り倒し中を調べるわけにもいかない。 が今日、大田切の材木置き場でその機会が訪れた。この開けた広場の端には廃材置き場があって、ミノムシめあてで来たのだった。と、そのそばに直径数センチくらいのニセアカシア若木が何本も切られている。おそらく伸びてきたのが気になって、ここの持ち主が刈り払ったのだ。で、そのニセアカシアのいくつかに、例のボクトウガと思われる木屑の噴出がついているのに気がついた。 一度家に帰り、ノコギリを探すが見つからず、しょうがないのでホームセンターに行って小さなノコギリを入手し、再び現場へ。ニセアカシアの穴の開いた周辺をニューノコギリでざっと玉切りにし、それをナタで縦割りにすると、件の幼虫があらわれた。表面から見えている横穴は、すぐに90度折れ曲がり、幹の芯の部分を直径7ミリでまっすぐに下へと15センチ降りていき、そこに幼虫は潜んでいた。頭幅5.5ミリ、体長はだいたい5.5センチ。脚など見るとたしかにガの幼虫だが、頭部に備わった大アゴは甲虫のものみたいに立派。まあこのくらいなくては堅い材に穴などうがつことはできないだろう。 手持ちの「原色日本蛾類図鑑」(保育社)には、ボクトウガ科として、ゴマフボクトウ、ボクトウガ、ハイイロボクトウの3種が出ている。「原色日本蛾類幼虫図鑑」(保育社)に出ているボクトウガはこのうちゴマフだけで、それは体が薄赤色だからあてはまらない。何ボクトウだろう。羽化までたどり着いてくれれば種類もわかるのだろうが……。 ネットで検索していて今日はじめて知ったのだが、ボクトウガ幼虫には興味深い生態があるようだ。ボクトウガ幼虫が木に穴を開けるとそこからはしばしば樹液が出るようになる。樹液が出れば虫が集まる。ボクトウガ幼虫は穴の入り口付近に潜んでおり、樹液に集まってきたそうした虫たちを捕らえて食べるというのだ。 捕食場面を見てみたい!とボルテージややククッと上がるも、相手は穴に潜むもの、そうおいそれとはお目にかかれぬことだろう。 追記(2/8) これはボクトウガでなくコウモリガの幼虫であると、コメントらんにPhasmidさんからご指摘いただきました。訂正させていただきます。
by narwhal2
| 2006-02-02 19:57
| チョウ目
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