2006年 04月 24日
部奈にある小さな神社の境内に入ってみると、2本の桜はほぼ満開だった。空は晴れ、気温はグングン上がり、ひとつだけ残念なことといえば風が相当強いこと。桜の花びらは散っていくし、野外での写真は撮りにくい。が、ちょうど昼時、買い物帰りの乳母車を押したオバちゃんが通りかかる以外一人もいない桜の下で、遠くにアルプスの山並みをながめ、持ってきた弁当を広げれば、まあこれでもいろいろあるとはいえ、こんな時間を少しでも過ごせるような暮らし方を、これからも選んでいけたらいいな、と思ってしまう。
さて、この集落に一つの廃屋というか使われていない木造家屋がある。多孔質なその空間は、いくつかのハチたちの絶好の生息場所になっているらしく、昨シーズンは各種アシナガバチ、クマバチ、オオカバフスジドロバチなどとの出会いの場であった。ちなみに持ち主の方にはそうやって周りをウロウロすることを承諾してもらっている。 その廃屋に行ってみたのは、今シーズンはアシナガバチの巣の経過を少しマメに追ってみたいと思ったからなのだが、まだ巣作りを始めている女王は見つけられなかった。東伊那のあたりでもまだであり、どうもそのことからすると今年の春は虫的には遅れているのかもしれない。 そうやって軒下を見回っているとどこかでハチの羽音がしていることに気がついた。探してみると、ハキリバチの仲間が数匹、家屋の土間に少し入ったところに積んである薪のあたりに飛んでいる。ハキリバチの何匹かはまだ巣穴にする場所を探しているといった風で、あっちの薪、こっちの薪、板壁の節穴と、穴を見つけては頭を突っ込みチェックしている。かと思えば、すでに巣穴を決めたらしく、やってきてはスッと入り、1〜数分後にサッと出ていくといった行動を繰り返すものもいる。穴は薪に開けられたおそらくカミキリムシ幼虫ないしそういった類のものがつくったらしい数ミリ大の穴をつかっているようだ。 春一番に活動するハキリバチというと、昨年中平の河川敷で見つけたハキリバチを思い出すのだけれど、この廃屋のハキリバチは体長10ミリほどと小さく、どうやらツツハナバチという仲間に属するもののようだ。ハキリバチ科ではあるけれど、葉片でコップを作るということをせずに、こういった穴に仕切を泥などでつくっていくタイプらしい。 こんな風に、何匹もの虫が忙しく行ったり来たりするのをそばでしばらく見ていたら、うんうん、春なんだからオレもがんばって活動しなきゃな、であった。
by narwhal2
| 2006-04-24 20:19
| ハチ目
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