2006年 06月 28日
唐突だけど、地下って気になりません?そこに何かあるのはわかってるけど、直に見られない世界。アリの巣しかり。子どもの頃、一度二度とその穴を掘り返したこと、誰にでもあるんじゃなかろうか。 中平の河川敷の一角にあるゴルフ練習場というか空き地。そこに毎年あらわれるコハナバチのコロニーがつくりだすおびただしい数の砂のマウンドを見ていると、いつもその「地面を掘り返したい」という思いがグググッとこみ上げてきてしまう。うーん、このあたり子どものころと変わってないような……。 そういうわけで久しぶりに穴掘り。ここのコハナバチ巣は3年前に一度発掘しているのだけれど、その花粉ダンゴをまた見たくなったのだった。体長10mmと小さなハチがつくる巣、とはいえ、それは地下30センチとか、場合によっては50センチほどのところにつくられることもあるし、相手は立体構造をもった繊細な建築物なのであって、シャベル片手にいきなりホイホイ掘っていく、などという生半可な気持ちではちと難しい。やはりそれなりの装備と覚悟が必要になる。まずは大型スコップで巣の手前を大きく掘っておく。この段階でビックリするくらいの砂の山がかたわらにできてしまう。誰かが通りかかったら間違いなく何かよからぬことをしている男、と疑われる量である。そうして出来た穴をベースにして、遺跡の発掘よろしく、鎌やパレットナイフやピンセットを使って、巣に向かい少しずつめくるように掘っていくわけだ。これはかなりハードな土方かつ繊細な作業である。 そうやって半日の間、幸運なことにどなたも通りかかることなく発掘作業をつづけ、いくつかの育室を掘り出すことができた。ここのコハナバチは、縦穴の主孔のまわりにいくつかの育室がつくられ、育室はカプセルホテルのごとく細長いものが縦横に積み重なるというもの。いずれも砂と若干の粘土質という素材でつくられているから、実はきれいに取り出せる育室は少ない。が、パッカリ開いた育室に、無垢ということばが似合うような細長い卵があると、思わず「オオ!」と声を出したくなる。 コハナバチは花粉とミツを混ぜて花粉ダンゴをつくる。ここ中平のコハナバチのつくる花粉ダンゴはけっこう横に広くてポッテリしており、どちらかというと花粉まんじゅうと呼びたい代物。が、そのなめらかさとツヤツヤ加減はさすがに職人技。パサパサした花粉とテロテロしたミツからどうやってこれをつくりだすものなのか。このまんじゅうを見ていると、その工程をのぞくことはできんものかなあ、などと無理なことも考えたくなってしまう。 →花粉ダンゴの香り
by narwhal2
| 2006-06-28 18:05
| ハチ目
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