2006年 10月 13日
飯田の博物館で自然講座の出前を行ってきた。こども相手の授業はときに依頼が来て行ったりしてきたが、平日の夜、大人相手というのは初めてだったので、どんな中身にするかけっこう悩んだ。タイトルは「ご近所昆虫探険記」であり、ご近所にいるちょっと日陰者だが愛すべきものたちを紹介するというのがねらい。ネタをいくつか仕込んでいき顔ぶれで判断することにする。話と写真だけで2時間もたせる自信はないので、いつものように標本&生き虫(今回はゴキブリたち)&食べる虫も用意していく。
集まったのは10人ちょっとでこじんまりとしており、こちらもリラックス。虫クイズからはじまって、ゴキブリ、ハサミムシ、ヒゲナガガ、冬虫夏草とスライドショーはつづく。これらマイナーだが心ひかれるものたちについて久々に力を入れた授業というよりほとんど語りを、みなさん飽きもせず、雑談まじりにあたたかく見守ってくださる、なかなかにいい時間。休憩なしでやってきたが、すでに持ち時間わずか。 最後の話題は食用昆虫。ちなみに画像上の4つの昆虫は「この4つに共通するのは?」と出したスライドで、いずれも伊那谷で食べられている虫たち。 この話題はすこしテーマシフトだが、僕の興味で入れさせてもらった。現代の昆虫食事情についてこっちが逆に知りたいということがあったのだ。 「食べたことのある虫は何ですか?」では、以下の情報が得られた。 ・イナゴ 全員 ・ハチノコ 全員(ただしオオスズメバチは3人のみ) ・カミキリムシ 6(ゴトウムシと呼ばれる) ・カイコ 10 ・コオロギ 0(伊那のある地区で食べてるという情報あり) ・ゲンゴロウ 0 ・ザザムシなど水生昆虫幼虫 7 ・トンボ 0(ヤゴ食べる人いるという情報あり) さすがは伊那谷の方たちである。ある程度以上の年齢の方だったということはあるにせよ、他の地方ではさすがにこうはいかないと思う。 僕が持ち込んだものはこの日のために取り寄せておいたタイ産食用昆虫のツムギアリとタガメ。虫を食べ慣れた伊那谷の方はこれらの昆虫をどう味わうのか……。どちらも軽く炒めて試食。 ツムギアリの幼虫、蛹。「くせないね」「食感いい」「淡白」「滋養がありそう」と好評。僕的にいっても、ハチノコよりもくせがなく上品な感じで普通においしかった。逆に伊那谷人には教材としてまるでインパクトはなしという結果。考えてみればこれもハチノコだものなあ。 一方タガメは手を出す人わずか。さすがに姿でハードルが高いのか、この反応はなぜかちょっとうれしい。シカタ氏と二人でお腹の辺りをしゃぶってみると、独特の香り(表現できん)。これはちょっと慣れが必要かもしれないが、それは想像よりも強くないもの。タイの市場ではわざわざ香りの強いものを選んで買うというくらいだから、これはそれが弱いものなのかもしれない。「タイ料理にあいそうな感じね」とはいっしょにかじった方の弁。タイではつぶしてソースに仕立てるというが、そうやって料理にしたのを食べてみたいものだ。 さて、こんな感じに講座は無事終了。後の雑談では、保育園でイナゴとってるよとか、カイコ成虫を食べる(脱水機にかけて翅をとる)とか、クスサンの蛹食べるとか、カミキリムシ成虫も食べる人がいるとか、そんな興味深い情報まで聞かせていただき、僕にとってお得な夜、であった。
by narwhal2
| 2006-10-13 09:23
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