2007年 04月 12日
普段あまり足をのばさない飯田まで出かけてきた。
目的は一応ギフチョウ詣で。ギフチョウといえばスプリングエフェメラルの代表のように語られることが多いけれど、僕にとってはほとんどかかわりのないまま来ている虫。これまでくらした土地にはすでにいなかったということが大きく、しかもあえて生息地まで出かけていって見るというほどまでにはひかれてなかった、なんていうとギフチョウ好きの人に怒られてしまうだろうか。あ、でも、まだ気温も低く、思ったよりも春の虫の出が遅く、そこへもってきて昨日立ち寄ってくれたシカタ氏から「ギフチョウ出てますよ」と聞けば、ここは一つミーハーに行ってみる日が一日くらいあってもいいんじゃないの、という気分になり、にわかギフチョウ初心者となったのであった。 あらかじめ教えてもらったいくつかのポイントをまわることにする。まずは以前も来たことのあるKという丘陵地。朝のうちこそ冷えていたが、気温はグングン上がり、歩いていればシャツ一枚でも暑くなるほど。さすがは下伊那地方だ。それでも木々の芽は芽吹きはじめであり、春の始まりの風景。 勝手が分からないので、とりあえずルートをブラブラ歩きつつ姿を探す。密度高く生息しているわけではないと知ってはいるが、それにしてもちっともおらんなあという感じでなかな姿を見ない。ようやく林縁の日だまりの地面に伏せていた一匹にお目にかかる。その後、たまにという感じで飛ぶ姿を見るようになるが、撮影の機会は吸蜜していたわずか一回だけ(画像)。これで午前中が終わる。午後は別のポイントに移動、探索するが、やせ尾根を行ったり来たりする姿を一度見るだけに終わる。撮影チャンスなし。うーん、もうちょっと後かなあ。 最初のKポイントに戻って散策。谷に降りたところに小さな貯水池。その縁に生えたヤナギでうれしい出会い。ゴマフヒゲナガ(画像)。「これだけは出会っておきたい虫リスト」の4月編に入っていた相手なのだ。 ゴマフヒゲナガはこの早春の時期にあらわれるヒゲナガガだ。ヒゲナガガ類はその食草をはじめとする生態がまだよくわかっていないものが多いが、このゴマフヒゲナガの生態だけはかなりわかっているらしく一般向け図鑑にも紹介されている。うちのあたりでも2年前の4/12にオスを見ていて、ただそれは見かけたというだけだった。 今日のこの池ほとりの小さなヤナギの枝先にはオスが三匹ほど止まっていて、さらにメス(こちらはすぐに逃げられてしまったが)も一匹。うーん、こういうヤナギで配偶行動するんだねえと、観察が一歩進んでうれしくなる。 ヤナギ前に陣取っていたところへ、車が一台やってくる。とても快活なオジさん。 「何かいるの?」 「虫の写真とってます」 「放していいか?」 「え?」 狩猟用のイヌの運動に来たのだという。 「冬の間はもう毎日猟やってたんだ。シカ、イノシシ、ヤマドリ。今はシカの角とかイノシシの牙使ってアクセサリーつくってる。カスタムナイフとかもやる。仕事引退?いや、ダンプの運転手だったんだけど、会社がつぶれちゃって。だから車も売っちゃって。ヒマなんだよ。ヤナギに来る虫?小さそうだな。オレには見えないや……」 たしかにオジさんは時間がタップリあるようで、話はなかなか終わらなかった。耳を傾けつつも目はヤナギへ送っておく。しかしその後ゴマフヒゲナガの追加はなく終わる。 こうしてギフチョウ詣でのハズがいつのまにかゴマフヒゲナガ観察へとシフトと相成った。ヤナギにへばりついている間に、一度だけギフチョウが一度通りかかるという場面があった。ちょっと迷ったあげくにスルーしてしまう。おのれの触角はやっぱりとことんマイナー系に反応するタイプなのだなあと自覚したのは、ハイ、このときでございました。あ、でもギフチョウはもう一度チャレンジしてみようかしら……。 →ゴマフヒゲナガ
by narwhal2
| 2007-04-12 21:32
| チョウ目
|
ファン申請 |
||