2005年 05月 15日
このマメゾウムシ、丸いカヤックに乗り込んでいるところ……ではない。サイカチというマメ科の固い種子に体がやっと通り抜ける穴をかじり開け、出てくるところだ。サイカチマメゾウムシ。実際にはこのあずき色のマメは、長さ30センチにもなるねじくれたこれまた固いサヤに入っていて、サイカチマメゾウムシが外界にデビューするにはこの後さらにサヤにも同じ丸い穴を開けなければならないわけだが、今回は僕の手によってマメがサヤからはずされたためにこういう登場の仕方になっている。
さかのぼること昨冬、川沿いにサイカチがまとまって生えているところに行き当たったのでそのサヤを少し拾っておいた。サヤはビニール袋に入って部屋の片隅に置かれ、そのうちその存在が忘れられていた。数日前のこと、そのビニール袋のあたりからカリカリという物音がするのに気がついた。今日、その音の主を探すべくサヤをチェックしたところ、一つのマメにちょうど穴を開け終えたマメゾウムシを見つけ観察したのだった。 そもそもサイカチマメゾウムシを見てみようと思ったのは、そのころ新聞の書評欄を見たことによる。本の名前を失念してしまったが、サイカチマメゾウムシが入ると、逆にサイカチのタネの発芽率はよくなる、といった内容だった。中身を断片的にかじっただけで失礼な話ではあるが、しかしこれはなかなかおもしろいと思った。サイカチという木のおもしろい見方はないかなと思っていたこともあって、とりあえずサヤを拾っておいたというわけ。 サイカチマメゾウムシのことは、研究者たちによってその生活史が明らかになっているようだが、件の一般書も入手していないのでまだほとんど知らない。野外で成虫が出てくるのはおそらくもう少し後の時期だろうし、そのころにはサイカチの花もしくは若い実があるだろうからそこに産卵するのだろう。ちょっと考えると、サイカチのタネについてもわからないことが多い。うちのサヤはいまだに固くタネを閉じこめたまま。いったいいつタネはばらけ発芽するものなんだろう。サイカチポイントを見に行ってみようかしら。
by narwhal2
| 2005-05-15 18:48
| コウチュウ目
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