2005年 12月 14日
<左上から右下へ> ニイニイゼミ ヤエヤマニイニイ アブラゼミ リュウキュウアブラゼミ クマゼミ エゾゼミ ハルゼミ エゾハルゼミ ヒメハルゼミ ヒグラシ ミンミンゼミ ツクツクボウシ オオシマゼミ クロイワツクツク イワサキゼミ ツマグロゼミ イワサキクサゼミ 虫屋と呼ばれる人たちには、詳細な記憶力の持ち主が多いように思う。どこそこの沢の石の裏に○○という昆虫が何匹張りついていたというようなことがたくさん蓄積されている。そういう人ははるか過去のこともかなりしっかり記憶している。たとえば生まれて数才のころ生まれて初めて見た虫の記憶なんてものを、そのシチュエーションとディテイルごと克明に記憶していて語ることができたりする。 僕はそういう点はまるっきりで、これは虫に限らないが小さいころの記憶もかなり後の方からとぎれとぎれにかろうじて、という具合だ。そういう意味ではナチュラリストとしての資質が貧弱。幼いころの虫の記憶も数少ない。その数少ない記憶の中の虫の一つがセミ。京都の街中に暮らしていた僕は、庭代わりに通っていた公園の木でセミをとろうとしていた……。これが僕のおそらく最も古い虫の記憶と思われるものだ。種類はクマゼミだと思われるのだけれど、あくまでもディテイルの乏しい記憶なので、あのうるさい鳴き声はその中に含まれていない。 そういうわけで一応もっとも古いつきあいの昆虫、セミ。が、そのあとのつきあいは皆無なまま来ている。何せ木の上の世界の住人であってアクセスしにくい虫たちだ。それなら鳴き声はどうかというとこれも苦手分野。コオロギなどもいまだに聞き分けられぬ。が、ぬけがら集めなら何とか手が届くのではないか、拾いモノは僕の観察スタイルの一つでもある。 で、今年はセミのぬけがらを意識して集めてみた。セミのぬけがらを手にすること自体はとりわけ難しいわけではない。が、種類を集めようとするとなかなか大変だ。一年かかってもここにあげた17種どまり。しかもその大半はありがたき友人、盛口氏が沖縄方面から送ってくれたものだから情けない。伊那谷エリアで入手できたのは、ニイニイ、アブラ、エゾ、ハル、エゾハル、ヒグラシ、ミンミン、ツクツクの8種のみ。 そういえば先日、フィールドでお会いしたYさんに伊那谷のセミの話をお聞きした。Yさんは今年アブラゼミのぬけがら調査を細かくデータ化された方なのだが、その際、伊那谷のセミは12種だとおっしゃっていた。残りはクマ(南部のみ)、コエゾ、アカエゾ、チッチの4種だ。クマ以外は、いずれも成虫をそれと認識して見たことのない種類ばかり。セミの世界はまだかなり高いところにありそうだ。が、ぬけがら集めで少しはその世界に触れた気にはなっている。
by narwhal2
| 2005-12-14 16:37
| 拾いモノ
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