2006年 01月 05日
今年の冬は寒い日が多い、と感覚的に思う。降雪の回数はあきらかに多い。越冬昆虫探索もえらく遅れ気味だ。が、今日からカミさんは仕事始めで、まだ冬休みの息子は正月早々風邪を引いて外に遊びに行けないという状況なので、こっちもなかなかフィールドに出かけていられない。
こんなときこそと、昨シーズンから我が家、マンション三階ベランダにしかけておいた竹筒トラップ中身調べに手をつける。手始めにコクロアナバチが出入りしていた、あるいはそれによると思われる、ワラで蓋された竹筒5本を開けてみた。 最初に開けた竹筒は、奧から、粗いワラ、繭、粗→密なワラ、繭、粗→密なワラ、筒外まで飛び出る長いワラという構成で、育房が二つ分だった。部屋の仕切も何もかもイネ科の草を細かくしたワラくずで行われているのだが、実に細工が細かい。ある部分は短く切ったワラくずが粗く置かれているかと思えば、細かくされたワラくずがぎっしりと密になる部分あり、そして入り口は何センチもある粗いワラくずといった具合に、草ワラ三段活用といった具合なのだ。その細工の様子を透明筒でも設置して見てみたいものだ。 細長く紡がれた繭の糸をはがしてみたところ、茶色い薄い膜があらわれ、その中に薄黄色の前蛹が入っていた。ちょっと?なのは、この前蛹らしきものが繭の前半部分に体を丸めて縮こまって入っていたこと。体も何だかしおれ気味。しかも体をよく見ると白い粒々のような組織がたくさん散らばっているかのように見える。あるいは何かの寄生を受けているのかもしれない。もしくはこれがノーマル状態なのだろうか? つづいて他の4本を開けてみると、いずれも空。一つは作りかけで止めたという状態。あとの3つはすでに羽化した跡だったのだ。 どういうこと?と疑問に思って、岩田久仁雄「自然観察者の手記」(朝日新聞社)を開けば、コクロアナバチは年二化とのこと。「梅雨明けと同時につくられた巣からは、夏の間に次の世代が羽化してくる」とある。常木勝次「狩人蜂」(講談社)には具体的なケースが記されていて、7月1日ころ産卵された卵が、7月16日に繭をつむいだが、8月31日に調べてみるとすでに羽化した後だったという。 ということは、空だった巣が一化目のもの、繭入の一本が二化目のものと考えればいいのかもしれない。いずれにしろ、この前蛹が来夏に無事コクロアナバチとして羽化してくるかどうかが次のポイント。
by narwhal2
| 2006-01-05 13:23
| ハチ目
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