2006年 01月 26日
イハラさんからミノガ類の資料が届く。先日お話ししたときに「ミノガのミノ、見分けられるようにならんかなあと思ってるんですが、何かいい資料はご存じないですか……」と聞いたのを覚えていて、送って下さったのだ。 そういうわけで、ミノムシ事始め。 いつものフィールドをミノムシ眼でまわってみることにした。これがなかなか新鮮。とりあえず、ミノムシがたくさんありそうな場所を思い浮かべ、そこをミノムシ眼でながめ、目についたミノを集めて回る。最初はただ集めるだけだが、しばらくやってると、「あれ?これはさっきあそこで見たのと同じ種類か?」てな具合になってくる。東伊那の田んぼわきに鎮座している巨岩のまわり、火山の木々や石碑、小さな祠とひたすらミノムシ眼で集めてみた。 数カ所まわったところでタイムアップ。これから子どもの授業参観およびPTAがあって出かけなければならない。こういう担当は主夫的な僕の役割なのだ。 用事がすませて帰ったところで、今日集めたミノ、および先日松本まで出かけたときに立ち寄った神社のミノ、を並べ、見比べる。いくつかの場所で同じだったり違ったりというあたりがぼんやりと見えてくる。 が、種類の同定するとなると手強そう。参考にするべき資料は乏しい。まず、手持ちの「原色日本蛾類幼虫図鑑」(保育社)には、オオ、チャ、シバ、ニトベの4種だけ。 イハラさんから届いた資料は二つ。一つは宮田渡さんの「長野県のオオミノガをさがして下さい」と題された文献(長野蛾報No.3,1976)。こちらには7種のミノのわかりやすい線画がついている。もう一つは「蛾類大図鑑」のミノガ類の図版コピー。これには15種のミノの標本写真が掲載されている。 みんなで作る日本産蛾類図鑑を拝見すると、名前のついているものだけでも28種があるようだが、とりあえず今あるものと照らし合わせて見当をつけてみた。以下は、あくまで絵合わせレベルの見当だ。何せ今日から始めたミノムシ初心者なのだから、そういうつもりでご覧いただきたい。 1:チャミノガ羽化後(火山ヤナギ) 2:チャミノガ中齢幼虫(火山ヤナギ) 3:ニトベミノガ?(東伊那岩陰) 4:キタクロミノガ?(東伊那岩陰) 5:クロチビミノガ(火山石碑) 6:7の若いの?(火山サンショウ) 7:ニトベミノガの古いもの?(火山サンショウ) 8:?葉片が開くようにつくニトベの若いのか?(火山祠) 9:キタクロの若いの?(火山祠) 10:クロチビミノガ(火山祠) 11:クロツヤミノガ(火山祠) 12:キタクロミノガ?(火山祠) 13:ニトベミノガ?(松本飯縄神社) 14:キタクロミノガ?(松本飯縄神社) 15:クロツヤミノガ(松本飯縄神社) 確実にわかるのは1とそれに付随していた2のチャミノガ。5と10は小さいが、他のと違い細かな繊維でつくられたしっかりした特徴的なミノで、蛾類大図鑑の図版ではクロチビという種類にあたるように見えた。多いのは12と14の中型で細長い草の葉もしくは茎が開くようにつけられたミノだが、これがちょっと迷う。シバミノガがこんな風にイネ科の草でミノをつくるように対して、こちらはその細長い繊維がまばらでかつ他の葉っぱ片なども混じっていて、キタクロミノガに近いのではないかと思われた。3と13はニトベミノガに似ているのだけれど、空ミノなのか状態がボロッていて何とも決めがたい。あまり古いミノは付着している植物片がとれてしまって特徴がなくなってしまうのだ。11や15は一応クロツヤミノガでよさそうだがどんなもんだろう。その他、1センチ以下の小さなミノに関しては今のところお手上げ状態。 集めていて気がついたのだけれど、昨シーズン羽化したあとの空ミノもあれば、チャミノガの小さいミノのように幼虫がおさまって冬越ししてるような新鮮そうなものもある。オオミノガとチャミノガのように、種類によって周年経過はきっと異なっていることだろうから、今それぞれがどの段階なのかわからないわけだ。おおよそ把握できてるのはオオミノガとチャミノガくらい。そしてオオミノガはこちらでは見たことがない。他のミノガの生活史についてはもうさっぱり状態。 こんな感じでミノムシに手をつけてみた。とりあえずはこうやってミノあつめを進めてみたい。
by narwhal2
| 2006-01-26 18:17
| チョウ目
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