2006年 03月 09日
今日も暖かめだが、成虫越冬のチョウたちに会うことはなかった。春っぽい薄曇りで日差しがなかったためだろうか。この時期の活動オンオフ境界はかなり微妙なのかもしれない。 それならと越冬昆虫モードに切りかえ、大田切の林でフユシャク探し。クロテンのメスを探しておきたいと思い、幹をじっくり見て回ったが空振り。 しかし、そういう探索眼で見てまわっていたおかげで、コナラ幹の地上50センチほどのところの樹皮割れ目に小さな蛹を見つけるという恩恵にはあずかった。この蛹、ちょっとかわっている。 こういう未知なるものとの出会いは、とまどいとともによろこびでもある。これホントに蛹?そして誰?と疑問ばかりが浮かぶ。体長9ミリ。コロンとして前半身大きめ。現場ではルーペもなくよく見えないのでその正体はちっとも見当つかず。プロポーションは何となくヨコバイあたりを連想したのだが、ヨコバイに蛹はないことを思い出した。 ちょっとかわっている、というのは、その蛹のお尻アタリの話。お尻の先が少しかくれるくらいの深さに、蛹の体が幹から離れてしまうのを支えるように、ネットのようなものが張られているのだ。いってみれば、樹皮の割れ目に張られたハンモックにゆられる蛹、である。 幹から蛹をはずすときに気がついたのだが、ハンモックは糸物質でつくられており、蛹のお尻はその糸にしっかりと付着していた。そこを顕微鏡で見れば、お尻先端にはちゃんとマジックテープ構造物が備わっている。お腹側に見える顔つき、触角からしても鱗翅目の蛹と思われた。せいぜい体長1センチほどの成虫になると予想されるのだが、はたして誰だろう?無事に羽化してくれればその正体も明らかになるのだが……。そしていつかこのハンモック蛹になる場面を目撃してみたい、と思う。
by narwhal2
| 2006-03-09 20:04
| チョウ目
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