2006年 07月 18日
関東虫草詣での旅二日目は鎌倉へと向かった。
冬虫夏草の存在を知る人は、まずセミの幼虫から生えるセミタケの仲間を思い浮かべることが多いんじゃないかと思う。たしかにいかにも虫からニョキっと生えてきた感じがする冬虫夏草だ。が、伊那谷ではまだセミ幼虫生のものは見つけておらず、埼玉西部のかつてのフィールドでもセミ幼虫生のものは、ツクツクボウシタケという不完全世代のものくらい。で、セミタケの類が今回の虫草詣での主な目標としていた。狭山丘陵ではセミタケを一度だけ見ていたので、前日探してみたのだが、見事に空振り。事前に情報を集めたところ、最も近いのが鎌倉だったというわけだ。 友人宅のある青梅から車で西武線の駅まで出て、そこから電車を乗り継いでいく。鎌倉は遠い。鎌倉からさらに江ノ電でいくつめかの目的地に着いたのはすでに昼前。この日も暑い。おまけに人がけっこう歩いている。ここにきて初めて鎌倉が観光地だったのだと気づく。 しばし歩いて盛口氏から聞いていた神社をなんとか見つけ探索開始。裏が照葉樹の林となった小さな神社で、地面にはコケが生えていたりしてなかなかよさそう。が、ちっとも見つからない。境内ではゼロ。 そんなはずは……と半ばあせりつつ、裏山の林床をじっくり見ながら登っていくと、ようやくキシノウエトタテグモから発生するクモタケ(画像上)が目に入る。一つ見つかると見えるようになるもので、つぎつぎとクモタケ。35本まではカウントしていたのだが、そのうち数えるのを止めた。ただしシーズン終わりかけなのか、胞子が落ち、しなびかけたものが多い。 クモタケ以外になかなか出ないので、この神社を離れあちこちウロウロ。同じような照葉樹林の丘陵は見えているのだが、人の家の裏だったりでちっともアクセスできるところなし。 しょうがないのでもう一度神社に戻って林内をさらに探索することにする。木の根際でようやくセミ幼虫生の未熟な虫草が出る。つづいて同じ種類と思われる長い柄を持つ虫草。この二つは後で調べるとどうやらトビシマセミタケという種類のようだった。 すでに夕方。しかしトビシマを見つけたことでさらに粘る気になってくる。そろそろ引き上げようかと戻りかけたところで、薄オレンジ色のこん棒状の虫草が目に入る。じっくり腰を落ち着けて発掘にとりかかる。思ったより幼虫は浅く、何とか無事に掘り出すことができた。最後になってようやくお目当てのセミタケ(画像下)とご対面。 結局この日鎌倉の照葉樹で見たのはクモタケ、セミタケ、トビシマセミタケ。いずれも伊那谷でも埼玉でもまず出ないものばかりだ。あらためて、所変われば冬虫夏草の顔ぶれもガラリと変わる、のだなあと思う。 →虫草詣で(その1)
by narwhal2
| 2006-07-18 21:10
| 菌類
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