2006年 12月 22日
一時間だけと決めて中平の河川敷に出かける。時間を区切ったのは息子が風邪(マイコプラズマ肺炎のようだが)でいまだ学校を休んでいるため。そのためピンポイント観察と決める。 枯れ野となった河川敷をまっすぐスイカズラ群落へと進む。先日ここでアサマイチモンジ幼虫によるものと思われる食痕をいくつか見つけた。シーズンには成虫やメスが産卵した卵も見ている。ただ越冬幼虫は見たことがなかったので探してみようと思ったのだ。ちなみに近縁のイチモンジチョウ幼虫もスイカズラを同様に食べるのでその可能性もある。が、ここでは成虫としてアサマしか目にしてないし、環境からいってもおそらくそうだと思う。先日通りかかったときに、この幼虫が葉っぱをつづってその中で越冬するとどこかで読んだ記憶をたよりに探索したのだが空振りに終わっていた。 冬、スイカズラはくすんだ色の葉をつけたままであり、その群落は枯れ草地の中で目立っていて、葉をていねいに見ていけば、中脈を残して食べる独特の食痕はすぐにいくつも見つかった。が、幼虫がかくれていそうな越冬巣らしきものがなかなか見つからない。 これにかぎったことではないが、冬の自然観察に近道はほとんどない。小さなものたちがみな、低温と乾燥を少しでも避けられるところに、あるいは見つかりにくいところにひっそりと潜んでいる。ここにいるはずと信じたのならば、目の前にあるものをひたすら読みつづけるしかない。 しばらくして、食痕のあった葉から少し降りたところに1センチほどの小さな枯れ葉がついているのが目に入った。その基半部が縦折に折り合わさって袋状になっている。もしやと思ってルーペでのぞいてみたら案の定トゲトゲにおおわれた幼虫の姿が少し見えている。どうやらこれがアサマイチモンジ幼虫の越冬巣らしい。想像よりも小さくてなかなか目に入らなかったのだ。 一つ見つければそれ用の目ができる。その後いくつかの越冬巣を見つけることができたが、枯れ葉は縦折とはかぎらず、横折になったものもありさまざまなようだった。枯れ葉なんてすぐに落ちてしまうのではと心配にもなるほど頼りないものに見えるが、あちこちが糸で補強されていて意外に丈夫そうである。 お目当てをいくつか見つけたあたりで、カラータイマーよろしく腕時計のアラームが鳴り、帰途につく。冬用のこの小さな枯れ葉の家に潜んでいたのは体長5ミリほどの小さな幼虫で、図鑑によれば3齢とのこと。それにしても、どうして落ち葉層に潜らずこんなところで越冬するんだろうねえ、と樹上越冬するものを見るたびに思ってしまう。
by narwhal2
| 2006-12-22 14:17
| チョウ目
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