2007年 03月 17日
ここのところ寒が戻って来て、これ幸いとデスクワークに時間を使っている。そういうのはフィールド三昧あるいは撮影漬けになりたい春になる前にできるだけなくなっていた方がいいわけで、お外の誘惑をおさえ家にこもっている。
それでもちょっとした散歩にはときどき出るようにしている。花粉症も今年はじめて薬を飲んでみたら症状はほとんど出てないし、昨日も午後1時間くらい古田切のコースを歩いた。気温が低くて活動しているのはユスリカくらいしかいない。唯一の収穫は段丘林のクリの枝先にあった見慣れぬ卵塊(画像上)。透明感のある白色のまんじゅう型卵が2カ所に分けてゴッチャリと産みつけてある。 鱗翅の卵ということは思いつくが、そこから先がまったく?大体いつ産卵されたのかわからないが、いかにも最近産みつけたように新鮮だ。春の始まりに出て来て卵塊を産むというとヒオドシチョウあたりを思い浮かべるが卵はまったく異なる。ガとなると種類が多くて手つかず。どうしようかと少し悩んだ末に持ち帰ることにする。 翌日、卵を見るとうっすらと色づいている(画像下)。となると、やはりごく最近に産みつけられたばかりのもののようだ。これほど春先に出てくるある程度の大きさのガとなると、キリガが思い浮かぶ。 関係はなさそうだが、この卵のもつピンクという言葉ではキツすぎ、桃色よりもさらにあたたかい感じの色合いは、いかにも早春に似合っているように思われる。矢野顕子の歌で「ほぉーら春先、頬紅……」というフワフワしたのがあったけれど、あんな感じの春先卵とでも呼びたくなる卵だ。 その正体についてほとんどあきらめていたが、ネットをまわっていたら、ときどきコメントをいただいているAclerisさんのブログ「いもむしうんちは雨の音」に、よく似た卵塊のことがタイミングよく紹介されていることに気がついた。スモモキリガを連れ帰ったところ、200個以上の卵を産み、それは当初薄黄色だったのが、2日後には肌色がかってきた、のだそうだ。時期といい、色合いといい、これはかなり似ている。スモモキリガそのものではないかもしれないが、このあたりのものとみていいように思われる。 キリガといえば、最近キリガ屋のシカタ氏にいくつかガの同定ついでに少しずつ教えてもらっていて、それを聞くにつれ、つくづくガのことは知らんないんだなあと気が付きつつある。どうもキリガというと春先にさっそうと出て来てキブシに集まってるイメージが強いのだけれど、秋に出るものも、秋に出て越冬するものも、春に羽化するものも、夏に出るものもあるのだそうだ。大体キリガという名は分類的なものですらないのだそうだ。ヤガは大きすぎてやっぱりまだ見えてこない……。
by narwhal2
| 2007-03-17 15:55
| チョウ目
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